ネイチャーショップKYOEI東京店 星ブログ

新製品情報はもちろん、機材のテクニカルガイドや、webショップには掲載できないブログだけの限定情報など、裏表織り交ぜてぶっちゃけます!

電視観望入門 part.2

5. ソフトウェア

SharpCapというCMOSカメラ制御ソフトが使いやすいです。いくつか試しましたが、電視用ではスタック機能が充実しているSharpCapが一番だと思います。バージョン2.9や3.0台のSharpCapはフリーですが、バージョン3.1以降のSharpCap "Pro"から有料になりました。年間ライセンスで10ポンドとのことです。Proの方はPolar Alignment, Dark Subtraction, Flat Frame Correction, Assisted Focus and Scriptingなどがついていますが、電視だけならProの機能はほとんど使わなくてもすむので、まずはProでないほうのフリーのものから試して、必要ならProのライセンスを手に入れるのがいいのかと思います。

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SharpCapでバラ星雲を電視しているところ


ここでは簡単にポイントだけ挙げておきます。

  • 最初は露光時間800msくらい。
  • ゲインは最大から一段階(50)か二段階(100)落としたくらいが使いやすいです。ASI224MCで500くらいでしょうか。
  • Gammaは50で標準。
  • Brightnessは色を出すために最大の240(ASI224MCの場合)。
  • White Balance(R)はオートに設定すると発色が自然になります。
  • White Balance(B)は90程度の高め。
  • Display ControlsのGamma、Contrast、Brightnessは最初はどれも1でいいと思います。
  • 星雲や星団が見えたらおそらく淡くノイジーなので、Live Stack機能をオンにします。映っている星の位置を自動認識し、それらの星が重なるよう自動的に画面を重ねていくので、多少画角がずれていってしまっても長時間スタックができます。。うまくいくと時間とともに劇的にノイズが減ってきます
  • Live Stack機能のHistgramタブのところの調整がかなり効きます。横軸の下のつまみをヒストグラムが盛り上がるところあたりに合わせると、背景が黒で締まって、かつ欲しい色を落としません。
  • それでも淡い天体で見にくい場合はDisplay ControlsのContrastを1増やす、Brightnessで補正、Gammaで好みにというような順に調整していくといいと思います。

 

6. アクセサリー

  • UV/IRカットフィルター: ASI224MCの場合赤外にかなりの感度があるため、ホワイトバランスが崩れ赤色が強調されがちです。安価なものでいいので、31.7mmの紫外線、赤外線をカットできるフィルターがあると色が自然になります。
  • 0.5倍レデューサー: 焦点距離400mmでも長すぎる場合があります。これはCMOSカメラのセンサーサイズが小さいため、一部分だけを拡大してみているような状態になるからです。安価なものでいいので0.5倍程度の31.7mmのねじ込み式のレデューサーがあるといいでしょう。Amazonなどで安く出ています。アンドロメダ銀河の全体が入るくらいになります。安価なものなので当然周辺星像が流れたりすることがありますので、ご注意ください。


7. その他

  • コンピューターを載せる小さな屋外用の折りたたみ机などがあるといいでしょう。
  • 画像を調整したりする必要があるので、落ち着いて椅子に座るとやりやすいです。屋外用の折りたたみ椅子があるといいでしょう。

さて、機材は揃いましたか?

 

8. それでは電視観望を試してみましょう!

  1. 鏡筒、赤道儀もしくは経緯台をセットします。極軸などの初期でのアラインメントは、アイピースなどで確認して取れているものとします。
  2. コンピューターにCMOSカメラをUSB3.0でつなげます。
  3. CMOSカメラを鏡筒のアイピースに入れてネジを締めて固定します。
  4. Sharpcapを立ち上げ、Cameraメニューのところから接続したカメラを選択し、カメラの画面が現れるのを確認します。
  5. ゲインと露出時間を上げていくと、カメラ画面が明るくなってくるはずです。
  6. 鏡筒でピントを合わせます。
  7. この時点でカメラを空の方を向けていれば、晴れた夜空なら都会でも驚くほどの数の星が映るはずです。
  8. さあ、いよいよ電視の始まりです。見たい星雲や星団に鏡筒を向けてください。この際に自動導入があると簡単に入るはずです。ただし、センサーのサイズが小さいのでかなり狭い範囲を見ています。もし想定している天体が何も入らなければ、自動導入の精度がずれているものと思われます。今一度初期アラインメントなどを繰り返してみてください。この際、カメラを使って再度初期アラインメントをするとセンターを出しやすいので、アイピースの時より精度が上がると思います。
  9. 何か星雲らしき面積を持ったものが写ったら、Sharpcapのパラメーターを上の説明を参考に調節します。
  10. Live stack機能をオンにします。ノイズがどんどん落ちてきて、星雲に綺麗な色がついてくることだと思います。
  11. 観望会などで披露して見ましょう。みんなでその場で色付きの星雲を共有して見ることができます!


昨日、富山市天文台で見た惑星状星雲M57です。お客さんが結局誰もこなかったのですが、せっかくなのでPCの画面をiPhoneで写真に撮って見ました。こんなのが見えたら大成功です。印象としてはこの写真に写っているのとほとんど同じようなものをその場で見ることができます。皆さんも是非とも電視観望を楽しんでみてください。

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M57(こと座リング星雲)の電視の様子

最後に

電視観望は、眼視や一眼レフカメラの撮影のちょうど間の、橋渡し的な手法なのかと思います。シャープさでは眼視に勝つことはできませんし、鮮明さでは画像処理をした撮影画像にはかないません。ですが、その場で星雲に色がついて見えるだけでもかなりインパクトがあると思います。各地の観望会でこの電視という手法が広まると嬉しいです。

富山県 Samさまのほしぞloveログはこちら

 

電視観望入門 part.1

楽しく快適に星雲星団を電視観望されている富山県Samさんのブログに分かりやすい入門記事がアップされていたので、許可をいただいてKYOEI星ブログに掲載いたします。

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先日の福島県星の村スターライトフェスティバルでもそうでしたが、電視観望が盛り上がりを見せているので、これから電視観望を始めたい人のために機材や説明などを簡単にまとめておきます。

電視観望は、高感度のCMOSカメラなどを使い、ライブビューで星雲や星団を見ることができます。特に星雲に色がついて見えるので、観望会などで披露すると大きなインパクトがあります。また、大人数でモニターを共有して見ることができるので、もうちょっと写野を動かしてみてとか、次はあの天体が見たいとか、ワイワイガヤガヤ話しながらさまざまな天体をみんなで楽しむことができます。特に天体望遠鏡を覗きなれていない初心者の方や子供たちそして年配の方々まで、リアルな宇宙を体感することが出来ます。

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電視観望システムの一例

1. 鏡筒
高価な鏡筒はあまり必要ありません。400mm以下の焦点距離の短いものがいいです。口径は大きい方がいいですが、意外にも60mmもあればなんとかなります。
ここで使っているもの:

  • タカハシFS-60CB:  焦点距離355mm、 口径60mm
  • iOptoron White Light Solar Scopeのフィルターがないもの: 焦点距離400mm、 口径80mm(安価だけど入手が難しいかも)
  • まだ試していませんが、iOptronの代わりに入手しやすいCelestronのTravel scopeの70mmが焦点距離が400mmと短くていいかもしれません。これだと1万数千円で入手できます。

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鮮明さや解像度は落ちるがアクロマートレンズでも十分

2. 赤道儀もしくは経緯台
自動導入が付いているものが望ましいです。自分で星雲など導入できる方は自動導入にこだわる必要はありませんが、できれば自動導入があった方が次々と天体を移動できるので圧倒的に楽しいです。
ここで使っているもの:

  • Celestron社のAdvanced VX: 高機能の割に安価です。電視には安定性、精度ともに十分です。
  • Celestron Nexster 4SEの架台部分: 架台だけ購入しようとすると難しいですが、中古などで安価に出ています。自動導入がある中では軽量で精度もそこそこあるので実用的です。経緯台でも後述のソフトが秀逸なので、少しの時間だけなら電視観望可能です。

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サイズの小さなCMOSチップに天体を導入するためには天体自動導入機能があると快適

3. CMOSカメラ
できるかぎり高感度のカメラがいいです。SONYセンサーを使っているものが感度がいいものが多いです。
ここで使っているもの:

  • ZWO社製 ASI224MC星雲星団用に感度のいいCMOSチップを使っています。
  • ZWO社製 ASI178MC: 224と比較すると若干感度は落ちますが、はるかに高解像度のCMOSチップを使用しているので、月など見る場合は最適です。

SONYの提唱するSNR1sという低照度での画像評価用の指標値が参考になり、他にもASI185MC、ASI290MCなどが候補になります。

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写真はASI178MC。ASI224MCも見た目は同じような構成です。

 

4. コンピューター
Windows7以降が走るもの。重要な点は上にあげたCMOSカメラがUSB3.0接続なので、USB3.0ポートを持っているコンピューターが必要です。USB3.0ケーブルはCMOSカメラに付属されているのでそれを使えばいいでしょう。

 

富山県 Samさまのほしぞloveログはこちら

 

三鷹・星と宇宙の日…小雨で残念(>_<)

国立天文台三鷹で開催されている「星と宇宙の日」に午後から出掛けてきました。

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ご覧のように星空ひろばの隣にある50センチ公開望遠鏡ドームは閉じていましたが、各建物内のイベントにはたくさんの見学者がいました。昨年よりも若い人たちが多かったように感じました。

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このレトロな屈折望遠鏡からアルマ電波望遠鏡への変遷を見ると、広大な宇宙に対する人間の飽くなき探究心を感じますね!

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直径4mの球体に投影された宇宙のプロジェクションマッピングは見ごたえがありました。昨年よりもパワーアップしていて感動しました(^.^)

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KYOEIはブース出店準備万端だったのですが、天候不良のため中止になってしまい残念でした。来年こそはスッキリと晴れますように!

かんたん…電視観望システム!

星の村スターライトフェスティバルでKYOEIブースに来られたお客様から、電視観望システムについてのご質問をメールでいただきました。ここでは会場で実際に撮像したシステムについてご案内いたします。

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会場での撮像システム構成:

CMOSカメラ…ZWO社 ASI224MC / ZWO社 ASI178MC

・望遠鏡…1.口径80㎜(f=400㎜) 2.口径60mm(f=355mm)

・架台… 1.Celestron NexStar経緯台 2.Advanced VX赤道儀

・パソコン…USB3.0端子およびHDMI端子付き

・モニター…40インチハイビジョンテレビ(HDMI端子付き)

接続方法:

CMOSカメラ⇔(付属USB3.0ケーブル)⇔パソコン⇔(HDMIケーブル)⇔モニター

CMOSカメラへの電源供給はパソコンのUSB端子からf:id:KYOEI-TOKYO:20171012182554j:plain

使用撮像ソフト:

SharpCap (フリーウェアソフト) … 付属CD-Rまたはネットからダウンロード

撮像パラメータ(設定項目):

・露出時間…M27(アレイ星雲)の場合、会場では1.6秒に設定

・ゲイン値…550に設定

・Live Stack…Stack(ON)+ Align Frames(ON)

・ホワイトバランス調整

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上写真(by ASI224MC)は前述のパラメータ設定にてスタック撮像したM27(アレイ星雲)です。口径60mm望遠鏡でこれだけ見ることが出来ます。これはSharpCapに搭載された便利なスタック機能のお陰です。この機能は、撮像されてくる画像内の任意の10~20個の恒星を自動的に選んで位置合わせをし、重ね合わせてモニターに表示してくれる優れものです。10枚もスタックされればノイズが劇的に低減され、天体画像が鮮明になります。

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HDMIケーブルでパソコンと大型モニターを接続してKYOEIブースにて映し出している風景。

星の村スターライトフェスティバルの様子ムービー!

先日開催された星の村スターライトフェスティバルの風景です。(32秒)

満月過ぎの大きくて明るいお月さまと会場のブース明かりがあるにも関わらず、電視観望の大型モニター前にはたくさんの来場者が集まってくれました。 皆さん口々に、これからの新しい星空観望スタイルですね~と。そのモニターをスマホで撮影される光景もなんとなく見慣れたスタイルに!

電視観望:高感度低ノイズ最新CMOSカメラで撮影したリアルタイム天体ムービーをPC画面(モニター)で観望

CMOSカメラの威力に脱帽!

最近話題のCMOSカメラを使うと、誰もが簡単にお手軽システムで深宇宙を見ることができるようになります! Incredible

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凄すぎます!  福島県田村市の星の村スターライトフェス会場において、CMOSカメラ(ZWO製 ASI224MC)で撮影した写真に皆さんから驚きの声が。。!

NGC6888三日月星雲は露出12.8秒、M33は露出3.2秒のそれぞれオートスタック撮影。煌々と輝く満月の下、なんとたった口径6cmの望遠鏡でこんなに写りました(^.^)

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オオザカレンヂkeisukeさんのコンサートは夜空に染み渡りますね!

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閉会式の後の記念撮影です。皆さま来年もよろしくお願いします🤗

星の村スターライトフェスは暑い!

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福島県田村市の星の村天文台で開催されているスターライトフェスのKYOEIブースには、早くもたくさんの星好きが大集合。ありがとうございます😊

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モニターにはCMOSカメラでリアルタイムに撮影した月面やM27アレイ星雲などの動画を映し出しました。スマホでそのモニターを撮影するのも、天体観望の新しいスタイルかもしれません‼️

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国立天文台や東大の天文学者の先生方から、最先端の天文書籍や重力波スペシャルトークもあり、会場は熱気に包まれています(^.^)