ネイチャーショップKYOEI東京店 星ブログ

新製品情報はもちろん、機材のテクニカルガイドや、webショップには掲載できないブログだけの限定情報など、裏表織り交ぜてぶっちゃけます!

StellaShot + E-ZEUSⅡで構築した天体撮像システム望遠鏡とスライディングルーフ

鳥取県の天文ファンのお客さま宅へ素晴らしい個人天文台の設置および動作環境設定に伺いました。KYOEI製スライディングルーフの中には、一台のPCにて赤道儀やデジタル一眼レフカメラそしてオートガイダーをコントロールできるデジタル天体撮像システム望遠鏡が完成しました。

f:id:KYOEI-TOKYO:20171202125633j:plain

〇スライディングルーフ

KYOEI製SR-2030DXスマホリモート開閉式電動ルーフ Wifi経由) ・雨滴センサー

・室内監視モニター(スマホ制御 Wifi経由

〇撮像システム

・中央光学HG25赤道儀 + E-ZEUSⅡ + QHY5LⅡ-Mオートガイダー + Nikon D810A

このシステムではASCOMをインフラにして、アストロアーツ製StellaShotからすべてのコントロールを行えるようにしました。

f:id:KYOEI-TOKYO:20171202131123j:plain

オーナーさんは将来的には書斎から天体撮像を楽しみたいそうです! こうなると夢のような秘密基地と言っても過言ではないですよね(笑)

f:id:KYOEI-TOKYO:20171202131442j:plain

電視観望+撮影してみました!

月齢11のお月さまがまだ高度25度で煌々と輝いている夜空の埼玉県飯能市で、CMOSカメラを使用して電視観望しながらM1(かに星雲)をテスト撮影してみました。

f:id:KYOEI-TOKYO:20171110103054j:plain

かに星雲:おうし座にある超新星残骸で、地球からの距離7000光年

CMOSカメラ:ZWO社 ASI224MCIR/UVカットフィルタ チップ温度:12.5度

Gain:300 露出:5秒×200枚LiveStack 画像処理:StellaImage8

望遠鏡:口径70mm 焦点距離400mm 赤道儀:iOptron CEM25

f:id:KYOEI-TOKYO:20171110104318j:plain

月明かりがあっても、ノイズリダクション処理(ダークノイズ減算や冷却など)を一切施していなくても、口径70mmの小さな望遠鏡でかに星雲のフィラメント構造がこれだけ写ってくれたので驚きました。ひとつ失敗したのはGain値を300で撮影してしまったのでバックグランドがノイズ交じりになってしまいました。その後いろいろテストしてみると、Gain値が200~250までだとかなりノイズが減ることが分かりました!

満天の星空を期待して。。。(-_-)

山梨県の八ヶ岳にあるペンションスターパーティーで電視観望してみようと思い立ち行って来ました。

f:id:KYOEI-TOKYO:20171029230711j:image

ご覧のように紅葉🍁は見事でしたが、あいにくの台風接近により星空を堪能することはできませんでした(-_-)

f:id:KYOEI-TOKYO:20171029230942j:image

そこで夕食後は、ペンションオーナーからの素晴らしい星空解説を一緒に行った星仲間と室内で聴かせていただきました。筆者も最新CMOSカメラによる天体撮影についてトークしました。露出時間やスタック処理の方法について関心が寄せられました!

f:id:KYOEI-TOKYO:20171029231335j:image

電視観望って楽しい!

昨夜、東京都小金井公園で電視観望やってみました。夜空の状態は、薄曇りと光害であまりよい条件ではありませんでした。カシオペア座の星が4つだけ、白鳥座のデネブとサドルは見えるけどアルビレオは見えない、そんな明るさでした。

f:id:KYOEI-TOKYO:20171027163548j:plain

M15(球状星団)…撮影時の高度が30°くらいでしたが、ここまで分解して写りました

CMOSカメラ:ZWO ASI178MC ・望遠鏡:口径70mm 焦点距離400mm

・SharpCapのLiveStack機能にて露出5秒×135枚スタック ・StellaImage7画像処理

・外気温10℃(CMOSセンサー温度16.2℃)

上画像の中には、なんと15等級の恒星まで写っています。
ZWO ASI178MCはピクセルサイズが2.4×2.4μmという極小サイズで600万画素のチップを採用したモデル。夜空が暗くて大気の状態のよいロケーションでの撮影なら、きっと驚くような解像度の天体画像が見られたかもしれません!

f:id:KYOEI-TOKYO:20171027164503j:plain

M27(アレイ星雲)…星雲の中心部の微光星やガスの発色が鮮やかに写りました

CMOSカメラ:ZWO ASI224MC ・望遠鏡:口径70mm 焦点距離400mm

・SharpCapのLiveStack機能にて露出5秒×200枚スタック ・StellaImage7画像処理

・外気温10℃(CMOSセンサー温度17.6℃)

 

平日の仕事が終わってからでも、電視観望なら簡単快適に天体を楽しむことができます。このフットワークのよさも電視観望ならではですね!

秋葉原でやっちゃいました電視観望!

KYOEI東京店の前の歩道でこと座のM57(リング星雲)を電視観望してみました。

f:id:KYOEI-TOKYO:20171024144636j:plain

M57(リング星雲)…露出2.4秒×132枚(LiveStack機能)で14等星までも!

ご存知のように秋葉原は光で満ち溢れた街ですが、デジタルパワーを活用した電視観望システムだと簡単快適に惑星状星雲の姿を映し出してくれます! そのシステムは以下の通りです。

CMOSカメラZWO ASI224MC ・撮影ソフト:SharpCap

望遠鏡:口径70mm 焦点距離400mm ・赤道儀:iOptron CEM25

18:00 機材を店頭の歩道へ出してセッティング。これが一苦労。。。

  (周囲のビルが高くて北極星見えない。空が狭くてベガとデネブしか見えない。)

19:30 撮影開始。

    露出時間2.4秒、Gain=298、SharpCapのLiveStack機能で132枚スタック。

LiveStack機能とは、写野に写っている恒星10~20個を使って自動的に位置合わせをしてスタックしてくれる超便利でありがたい機能。この機能で撮影した画像が上の写真。

19:45 雲がこと座付近に湧いてきて撮影終了。

f:id:KYOEI-TOKYO:20171024145334j:plain

撮影時の様子…ビルや街灯やヘッドライトの光に溢れている環境

部屋の片隅や押し入れに眠っている天体望遠鏡があれば、是非とも電視観望で星空を堪能してみませんか? お持ちのパソコンにCMOSカメラを接続すれば、そこが宇宙へのエントランスになります!!

f:id:KYOEI-TOKYO:20171024163259j:plain

 秋葉原にあるKYOEI東京店のショップ前はこんなところです。撮影の後すぐにこと座のベガやM57(リング星雲)はビル没になってしまいました(笑)

電視観望入門 part.2

5. ソフトウェア

SharpCapというCMOSカメラ制御ソフトが使いやすいです。いくつか試しましたが、電視用ではスタック機能が充実しているSharpCapが一番だと思います。バージョン2.9や3.0台のSharpCapはフリーですが、バージョン3.1以降のSharpCap "Pro"から有料になりました。年間ライセンスで10ポンドとのことです。Proの方はPolar Alignment, Dark Subtraction, Flat Frame Correction, Assisted Focus and Scriptingなどがついていますが、電視だけならProの機能はほとんど使わなくてもすむので、まずはProでないほうのフリーのものから試して、必要ならProのライセンスを手に入れるのがいいのかと思います。

f:id:KYOEI-TOKYO:20171020161513j:plain

SharpCapでバラ星雲を電視しているところ


ここでは簡単にポイントだけ挙げておきます。

  • 最初は露光時間800msくらい。
  • ゲインは最大から一段階(50)か二段階(100)落としたくらいが使いやすいです。ASI224MCで500くらいでしょうか。
  • Gammaは50で標準。
  • Brightnessは色を出すために最大の240(ASI224MCの場合)。
  • White Balance(R)はオートに設定すると発色が自然になります。
  • White Balance(B)は90程度の高め。
  • Display ControlsのGamma、Contrast、Brightnessは最初はどれも1でいいと思います。
  • 星雲や星団が見えたらおそらく淡くノイジーなので、Live Stack機能をオンにします。映っている星の位置を自動認識し、それらの星が重なるよう自動的に画面を重ねていくので、多少画角がずれていってしまっても長時間スタックができます。。うまくいくと時間とともに劇的にノイズが減ってきます
  • Live Stack機能のHistgramタブのところの調整がかなり効きます。横軸の下のつまみをヒストグラムが盛り上がるところあたりに合わせると、背景が黒で締まって、かつ欲しい色を落としません。
  • それでも淡い天体で見にくい場合はDisplay ControlsのContrastを1増やす、Brightnessで補正、Gammaで好みにというような順に調整していくといいと思います。

 

6. アクセサリー

  • UV/IRカットフィルター: ASI224MCの場合赤外にかなりの感度があるため、ホワイトバランスが崩れ赤色が強調されがちです。安価なものでいいので、31.7mmの紫外線、赤外線をカットできるフィルターがあると色が自然になります。
  • 0.5倍レデューサー: 焦点距離400mmでも長すぎる場合があります。これはCMOSカメラのセンサーサイズが小さいため、一部分だけを拡大してみているような状態になるからです。安価なものでいいので0.5倍程度の31.7mmのねじ込み式のレデューサーがあるといいでしょう。Amazonなどで安く出ています。アンドロメダ銀河の全体が入るくらいになります。安価なものなので当然周辺星像が流れたりすることがありますので、ご注意ください。


7. その他

  • コンピューターを載せる小さな屋外用の折りたたみ机などがあるといいでしょう。
  • 画像を調整したりする必要があるので、落ち着いて椅子に座るとやりやすいです。屋外用の折りたたみ椅子があるといいでしょう。

さて、機材は揃いましたか?

 

8. それでは電視観望を試してみましょう!

  1. 鏡筒、赤道儀もしくは経緯台をセットします。極軸などの初期でのアラインメントは、アイピースなどで確認して取れているものとします。
  2. コンピューターにCMOSカメラをUSB3.0でつなげます。
  3. CMOSカメラを鏡筒のアイピースに入れてネジを締めて固定します。
  4. Sharpcapを立ち上げ、Cameraメニューのところから接続したカメラを選択し、カメラの画面が現れるのを確認します。
  5. ゲインと露出時間を上げていくと、カメラ画面が明るくなってくるはずです。
  6. 鏡筒でピントを合わせます。
  7. この時点でカメラを空の方を向けていれば、晴れた夜空なら都会でも驚くほどの数の星が映るはずです。
  8. さあ、いよいよ電視の始まりです。見たい星雲や星団に鏡筒を向けてください。この際に自動導入があると簡単に入るはずです。ただし、センサーのサイズが小さいのでかなり狭い範囲を見ています。もし想定している天体が何も入らなければ、自動導入の精度がずれているものと思われます。今一度初期アラインメントなどを繰り返してみてください。この際、カメラを使って再度初期アラインメントをするとセンターを出しやすいので、アイピースの時より精度が上がると思います。
  9. 何か星雲らしき面積を持ったものが写ったら、Sharpcapのパラメーターを上の説明を参考に調節します。
  10. Live stack機能をオンにします。ノイズがどんどん落ちてきて、星雲に綺麗な色がついてくることだと思います。
  11. 観望会などで披露して見ましょう。みんなでその場で色付きの星雲を共有して見ることができます!


昨日、富山市天文台で見た惑星状星雲M57です。お客さんが結局誰もこなかったのですが、せっかくなのでPCの画面をiPhoneで写真に撮って見ました。こんなのが見えたら大成功です。印象としてはこの写真に写っているのとほとんど同じようなものをその場で見ることができます。皆さんも是非とも電視観望を楽しんでみてください。

f:id:KYOEI-TOKYO:20171020162918j:plain

M57(こと座リング星雲)の電視の様子

最後に

電視観望は、眼視や一眼レフカメラの撮影のちょうど間の、橋渡し的な手法なのかと思います。シャープさでは眼視に勝つことはできませんし、鮮明さでは画像処理をした撮影画像にはかないません。ですが、その場で星雲に色がついて見えるだけでもかなりインパクトがあると思います。各地の観望会でこの電視という手法が広まると嬉しいです。

富山県 Samさまのほしぞloveログはこちら

 

電視観望入門 part.1

楽しく快適に星雲星団を電視観望されている富山県Samさんのブログに分かりやすい入門記事がアップされていたので、許可をいただいてKYOEI星ブログに掲載いたします。

*******

先日の福島県星の村スターライトフェスティバルでもそうでしたが、電視観望が盛り上がりを見せているので、これから電視観望を始めたい人のために機材や説明などを簡単にまとめておきます。

電視観望は、高感度のCMOSカメラなどを使い、ライブビューで星雲や星団を見ることができます。特に星雲に色がついて見えるので、観望会などで披露すると大きなインパクトがあります。また、大人数でモニターを共有して見ることができるので、もうちょっと写野を動かしてみてとか、次はあの天体が見たいとか、ワイワイガヤガヤ話しながらさまざまな天体をみんなで楽しむことができます。特に天体望遠鏡を覗きなれていない初心者の方や子供たちそして年配の方々まで、リアルな宇宙を体感することが出来ます。

f:id:KYOEI-TOKYO:20171018152135j:plain

電視観望システムの一例

1. 鏡筒
高価な鏡筒はあまり必要ありません。400mm以下の焦点距離の短いものがいいです。口径は大きい方がいいですが、意外にも60mmもあればなんとかなります。
ここで使っているもの:

  • タカハシFS-60CB:  焦点距離355mm、 口径60mm
  • iOptoron White Light Solar Scopeのフィルターがないもの: 焦点距離400mm、 口径80mm(安価だけど入手が難しいかも)
  • まだ試していませんが、iOptronの代わりに入手しやすいCelestronのTravel scopeの70mmが焦点距離が400mmと短くていいかもしれません。これだと1万数千円で入手できます。

f:id:KYOEI-TOKYO:20171018152957j:plain

鮮明さや解像度は落ちるがアクロマートレンズでも十分

2. 赤道儀もしくは経緯台
自動導入が付いているものが望ましいです。自分で星雲など導入できる方は自動導入にこだわる必要はありませんが、できれば自動導入があった方が次々と天体を移動できるので圧倒的に楽しいです。
ここで使っているもの:

  • Celestron社のAdvanced VX: 高機能の割に安価です。電視には安定性、精度ともに十分です。
  • Celestron Nexster 4SEの架台部分: 架台だけ購入しようとすると難しいですが、中古などで安価に出ています。自動導入がある中では軽量で精度もそこそこあるので実用的です。経緯台でも後述のソフトが秀逸なので、少しの時間だけなら電視観望可能です。

f:id:KYOEI-TOKYO:20171018153452j:plain

サイズの小さなCMOSチップに天体を導入するためには天体自動導入機能があると快適

3. CMOSカメラ
できるかぎり高感度のカメラがいいです。SONYセンサーを使っているものが感度がいいものが多いです。
ここで使っているもの:

  • ZWO社製 ASI224MC星雲星団用に感度のいいCMOSチップを使っています。
  • ZWO社製 ASI178MC: 224と比較すると若干感度は落ちますが、はるかに高解像度のCMOSチップを使用しているので、月など見る場合は最適です。

SONYの提唱するSNR1sという低照度での画像評価用の指標値が参考になり、他にもASI185MC、ASI290MCなどが候補になります。

f:id:KYOEI-TOKYO:20171018154312j:plain

写真はASI178MC。ASI224MCも見た目は同じような構成です。

 

4. コンピューター
Windows7以降が走るもの。重要な点は上にあげたCMOSカメラがUSB3.0接続なので、USB3.0ポートを持っているコンピューターが必要です。USB3.0ケーブルはCMOSカメラに付属されているのでそれを使えばいいでしょう。

 

富山県 Samさまのほしぞloveログはこちら